家づくりが長引くと出る損失

私の家づくりは、今となっては順調に進んでいますが、ここにたどり着くまでには紆余曲折ありました。

2023年1月に土地を決済&設計開始し、2023年6月に契約した工務店をキャンセル、そして2023年7月に別の工務店と契約をして2024年8月の引き渡しに向けて工事進捗中、という流れです。

土地探しや業者探しから数えると2022年4月開始となりますが、”お金が動き出すタイミング”でカウントしています。

工務店のキャンセルが無ければ、恐らく半年は圧縮できたはずですが、土地の先行融資が始まってから引き渡しまで1.5年も経過することに。

いつかの記事で書いた気がしますが、家づくりで必要なのはサンクコストを常に捨てることかなと思ってます。

そういう話をしてみたいと思います。

目次

サンクコストってなに

英語でsunk cost、日本語で埋没費用と言うらしいです。
撤退、方針転換をしたところで、回収不能のコストのことを指します。

いわゆる“ここまで時間とお金をかけたのに、ここで方針転換するのは勿体ないじゃん! このままがんばろうぜ!”というやつです。

コンコルド効果というものがあります。

超音速旅客機として開発されたコンコルドという飛行機は、燃費がかなり悪いうえに乗客定員が少なく、採算ラインを突破するのはかなり厳しい、というか無理なのでは? という状況がわかっていたにも関わらず、莫大な費用をかけて開発されました。

250機売れれば採算ラインだったようでしたが、実際に量産されたのは16機というヤバい状態。

なぜ赤字になるとわかっていたのに量産製造までしてしまったのか、それがまさに”莫大なコストをかけたから”でした。

お金も時間もかけたしみんなめっちゃ頑張ったからこのままやろうよ! でやらかしてしまいました。

コンコルド効果は、人間の決断を鈍らせる”サンクコスト”の存在を説明する代表的な例とされています。

家づくりにおいては”費やされた時間”と”情”こそが凶悪なサンクコストになると思っています。

ここまで時間をかけたから、あるいはここまで時間をかけてくれたから、たくさんのお願いを聞いてくれたから、こんなに一生懸命やってくれたから……こういったものが決断を鈍らせ、その結果積み重なり、本当のコストが知らず知らずのうちに膨れ上がっていきます。

本当のコストは、実はサンクコストと違って撤退や方針転換によって回収可能であるにも関わらず……

垂れ流される家賃

最も代表的で有名な損失が、家づくり中にも支払いが発生する家賃です。

多くの人は賃貸からの転居になると思われます。

これが例えば、家族で住んでいる3LDKで家賃10万円/月を支払っているとすると、1.5年=18カ月ということは、180万円を支払っていることになります。

建売を買って来月引っ越すよりも、ここで180万円のコストアップが発生します。

もしも更新料まで挟んでしまったら悲惨ですね。

土地先行融資後から開始する利息払い

住宅ローンを分割融資で実行する場合、先に融資した分は利息が発生し、最終金の融資実行まではその利息のみを払い続けます。

つまり、残債は減らないのに利息について垂れ流しになって銀行が丸儲けになってしまいます。

数十万円と言う金額にはなかなかならないと思いますが、積み重なれば無視できない金額になってしまいます。

仮に最終金の実行まで毎月平均で1.5万円を払うとすると18カ月で27万円です。

つなぎ融資の場合も結構コストがかかると思うのですが、つなぎ融資を私が経験していないので割愛……

土地にかかる固定資産税

土地を先行で買っているので、1年以上かかるのであればここに係る固定資産税も払わなければなりません。

しかも、更地の固定資産税は高いです。建物があると軽減措置があるのですが、更地では満額支払わなければなりません。

これは土地の評価額によって全く異なるので一概に金額は決まっておりませんが、それなりの地域にそれなりの条件の土地を買えば、無視はできない金額です。

改悪される火災保険

火災保険はこれまで、ある種ボーナスタイムだったのかもしれません。

子どもがテレビを倒して画面が割れた、などの不慮の事故で家財が壊れた場合、保険を使って新品に買い替えられました。

しかし23年10月からは免責金額が設定されて、だいたいどの保険でも5万円は自分で払わないといけなくなりました。

これまで30万円のテレビが壊れたら30万円のテレビに無料で交換できたにも関わらず、これからは5万円は負担しなければなりません。

大改悪です……

2024年にも火災保険の値上げが予定されているようです。

しばらくは利用者に不利な変更は続くと思うので、この観点でも家づくりは長引かせない方が良さそうです。

改悪される(かもしれない)補助金

こどもエコすまい支援事業に類する補助金もいつなくなるかわかりません。

私も某工務店をキャンセルする際、こどもエコすまいの100万円は飛ぶな……と覚悟を決めました。
結果、国の基準による高性能住宅であれば引き続き補助を受けられる制度ができたので、なんとか給付されることになりましたが、この制度も今後いつまで続くかわかりません。

2024年秋以降も続けば良いのですが……これがなくなると100万円のお小遣いがなくなるわけなので、実質かなりのコストアップです。

一撃で100万……これは受け取りたい!

インフレの影響

これも2022年頃から顕著に影響が出るようになってきました。

家自体の値段はもちろんのこと、例えば引越業者、家具家電などもインフレの影響を受けて上昇しています。

引っ越し、家具家電、全部合わせるとここ一年の比較では20万くらい変わってくるのではないでしょうか。

家の値段まで考慮すると数百万ということになりますね……

あとは金利も上昇局面に差し掛かりましたね。

まとめ

家賃、分割融資の利息、固定資産税、火災保険の改悪、インフレの影響……

注文住宅を建てる=住み始めるのに1年くらいかかるということになるので、見えざるコストも結構すごい額になります。長引けば長引くほどコストは垂れ流しになります。

昨今、家づくりをやっていると頻繁に耳にする「ランニングコストを下げるためにイニシャルコストをかけましょう」という営業トークには、こういうコストは勘定されていないことが多いです。

例えばいま住んでいる賃貸の家賃が10万で、建売を買えば翌月から住めます。

注文住宅を建てるとなると、動き出しから足掛け1.5年かかるとして、その時点で注文住宅は建売と比較して10万×18カ月=180万のコスト高になります。
180万円って、外壁の修繕1回分くらいですかね? すごい金額です。この差額ってイニシャルかけたところで埋まるんでしょうか?
さらに、こどもエコすまいの系譜の100万円が受け取れなくなったら?
火災保険も値上げを1回は挟むでしょうし、家具家電の値段もバシバシ上がっていく……

注文住宅はお金がかかります。
そして何よりも、一番の資本である”時間”をかなり消費しますので、くれぐれも覚悟を決めて臨みましょう。

家づくりが好きな人だと、打ち合わせもすごく楽しいんですけどね。そうでないとツラいことが目立つと思います。
私は家を持つのが小さいころからの夢だったので、楽しく取り組めていました。

住宅会社も、時間をかけて顧客接点を増やして情が湧くように仕掛けてきますので、断るのは実際ストレスがかかり大変なのですが、
え、なんかこれヤバくね? と思った段階でスパッとキャンセルして手切れ金を払った方が、うだうだ悩んでズルズルと打ち合わせを続けるよりも、被害を小さく抑えることができる可能性も大いにあるわけです。

結果論ではありますが、私ももっと決断が早ければもっとコストを抑えられたな……と思う部分が多々あります。
なぜ決断できなかったかというと“ここまで時間をかけたからこのままここで粘った方が良いのでは・・・”という、まさにサンクコスト、コンコルド効果、損失回避バイアスによってでした。
中年おやじになってもまだ、自分の脳みそにかかるバイアスに抗えません……

粘っても家は建っていたと思うのですが、想像を超えるおびただしい”本当のコスト”がかかっていたことでしょう。

優れた投資家は、サンクコストを捨てるのが超うまいと聞きます。
決断を早めるためにも、サンクコストを常に認知して、良い家を最短距離で手に入れたいですね!

それが難しいんですけどね!

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