私は土地なしの状態から、注文住宅の業者選定~契約~詳細設計の流れを1年の間に2回も繰り返しました。
一度失敗した経験から、これが注文住宅の一番ベストな始め方なんじゃないかと思ったことがありますので、紹介したいと思います。
注文住宅といえば楽しいプランニング、自由な間取り、後悔しないコンセント位置…総額の相場や他にも気になることはたくさんあります。
しかし自分の理想の家づくりをするために、まずそこまではどうやってたどり着くの? 進め方はどうしたらいいの? と悩んでいる方の力になれると嬉しいです。
とりあえず注文住宅の進め方として一番やってはいけないことは、何も考えずに間取り一括請求系のサービスに申し込むこと。
その次にやってはいけないことは自分だけで土地探しです。
まずは結論! 記事内でそれぞれ理由やコツを解説していきます。
- 間取り一括請求系はマジでおすすめしない
- 自分だけで土地探しは無理ゲー
- まずはプロに話を聞いて家づくりの流れを勉強する
- 仲介屋ではなく、施主ブログに問い合わせをする
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土地なしで注文住宅の計画を始める:プロから話を聞く
住宅展示場に行くのは悪い選択ではない(ベストでもない)
えっ、住宅展示場に行っちゃだめって、YoutubeでもInstagramでもTwitterでも言ってるじゃん! っていう反応の人もいると思います。
まずYoutube、Instagramですが、自分が提携している業者に流し込んで仲介手数料をもらうためにそう発信している人がほとんどです。
特にInstagramすごい。あっちもこっちも仲介業者の狩場って感じになってます。
住宅展示場に行ってしまうと営業マンが担当として付き、ハウスメーカー内で記録が残りますので、そうなってしまうとインフルエンサーが後からそのハウスメーカーに紹介しても、既に担当付きとして処理されて紹介元のインフルエンサーには手数料が入ってこないんです。
だからInstagramのインフルエンサーは必死に住宅展示場に行くのを止めるんです。
Twitterは?というと、検索能力が高い方が多いので、本心で住宅展示場に行く意味がないと考えてると思います。
しかし今回は、何から始めたら良いかわからない、調べるにもとっかかりが欲しい、という方向けの話です。
そしてもちろん、これだけディスられている住宅展示場に行くからには注意点があります。
住宅展示場に行くときの注意点
- 現時点で一番興味のないハウスメーカーに行くこと。
- 2時間でモデルハウスを出なければならないことを最初に伝えること。
- 絶対にあらゆるハンコを押さないという強い意志を持つこと。
- 斜に構えずちゃんと話を聞くこと。
この4つは守りましょう。
現時点で一番興味のないハウスメーカーに行く理由
ハウスメーカーの住宅展示場を私がおすすめする理由は、家づくりの流れがわかるからです。
土地探しの大変さや、住宅ローンの借り方、土地決定から本審査までは急がなければならないこと、そのあとの設計に入る流れなど、恐らくどのハウスメーカーもほとんど変わりません。
細かく言うと住友林業は5万円の申込金を払わないと設計士がプランを書かないとか、マイナーな変化はありますが、大きな流れは積水ハウスだろうが三井ホームだろうがタマホームだろうが、全く同じです。
なので、注文住宅の流れが勉強できます。
そのために、まずは現時点で一番興味のないハウスメーカーに行って、家づくりの流れを把握しましょう。
2時間でモデルハウスを出なければならないことを最初に伝える理由
ハウスメーカーの営業さんってめちゃくちゃ話が上手いんですよ。
あっという間に時間が経って、気が付くと脳ミソがヘロヘロになって、まずは事前審査出しましょう!とかいう強引な提案を飲みそうになってしまいます。
判断力の低下からのズルズル・・・を防ぐためにも、2時間で商談を切り上げるようにセッティングしましょう。
2時間あれば、注文住宅の流れ、家づくりの進め方について話を聞ける、かつそのハウスメーカーの特徴も聞けますし、なにより営業マンがやる気をなくして消化試合のような話になることもないでしょう。
絶対にあらゆるハンコを押さないという強い意志を持つ理由
上で述べた通り、住宅業界の営業マンは本当に話が上手いです。
私も何社も話を聞いて、これはうっかり買ってしまう人もいるよなあ、と思いました。
定番の営業手法にドアインザフェイス(譲歩的依頼法)というものがあります。
これは、100万円の商品を提案して断らせた後、10万円の商品を提案するという手法です。
営業マンがそういった提案をするとき、100万円の商品が売れるなんてもちろん思ってません。
10万円の商品を売るために、100万円の商品を提案しています。
これと同じ形で、「今なら安くできるんで、契約しませんか?」と言って、「契約は無理」と断らせた後、「ではローンの仮審査くらいは出してみます? 他のハウスメーカーに話を聞く場合でも融資額がわかって進めやすいですよ」と提案します。
そして仮審査を出してしまったら、今度は営業マンは割引やら間取り提案やらで誠心誠意あなたに尽くし、返報性の法則を効かせて、サンクコストを注ぎ込んで、見事あなたの契約を勝ち取ってみせます。
なので、すべてのハンコを断りましょう。
じゃあ次は来週で~みたいな強引な約束の取り方をしてくると思いますが、それも断ってください。
「明日から海外旅行に行くので、帰ってきたらこちらから連絡しますね」と答えてください。
斜に構えずちゃんと話を聞く理由
その時点で一番興味が無いハウスメーカーで、その場でハンコを押す気が無いとはいえ、人の時間をもらうわけですからちゃんと話を聞きましょう。
そもそもこの人、俺の事バカにしてる? と思った人に、営業マンがまともな話をすることはないでしょう。
もしかしたらめちゃくちゃ良い話を聞けるかもしれないし、そのハウスメーカーが思ったよりあなたに合っている場合もあるかもしれません。
そうなった場合に信頼関係が崩れていると、そのハウスメーカーと家づくりはできなくなってしまいますから。
相手はプロであるとリスペクトを持って、家づくりについていろいろ質問してみてください。
展示場に行くのが時間的・労力的に難しい場合はネットで話を聞いてみる
私は最初あまりにも進め方がわからなかったので、LIFULL HOME’Sでも話を聞いてみました。
これがかなり良い選択だったと振り返って思っています。
zoomで話した後、こんな感じでLINEの登録をしてやり取りが始まります。
LIFULL HOME’Sは強気な営業活動をサービスのルールとして禁止してるみたいです。
HPにも”営業はかけません”と書いて宣言をしています。
(↑のラインも、私がすぐには動けないという話をしていたので2か月も連絡を待ってくれてます。)
展示場でハウスメーカーの営業マンから説明される”家づくりの流れ”は、LIFULL HOME’Sでも聞けるので、時間が無い方、オフラインで営業マンに詰められるのが苦手な方はビデオ通話で相談してみるのもアリだと思います。
\ LIFULL HOME’Sで話を聞いてみる /
また、LIFULL HOME’Sは2023年11月に開催された「工務店未来会議」というカンファレンスでとても大事なことを言っていました。
クレーム産業という誹りを受ける住宅業界では、まだまだ信じられないような品質の仕事をする業者がままあり、そういった業者をLIFULL HOME’S上から排除するように審査を行っているそうです。
LIFULL HOME’Sは話を聞くだけでハウスメーカーの担当が付くようなことはありませんので、家づくりの始め方を勉強する、と言う意味では私が考える中ではベストなサービスだと思います。
LIFULL HOME’Sの申込手順も一応記載しておきます。
間取り一括請求サービスをおすすめしない理由
上のハウスメーカーに行くときの心得にかかってくるのですが、間取り一括請求サービスを使うと担当がついてしまうんです。
しかも、スピード勝負で描かれた間取りは土地の特性も考慮していません。
某一括請求サービスをおすすめする文脈でこの点に触れていない人は間違いなく不誠実です。気を付けてください。
私にも案件の話が来てしかも報酬がかなり美味しいので、おすすめできる角度を一生懸命探してみたのですが、私にとっては下記のデメリットがあまりにも大きすぎておすすめは困難でした。
- 会話すらない状態で担当が付く(展示場に飛び込むより悪い)
- 土地の制限、周囲の状況を考慮しない間取りが届く(そもそも建てられない可能性すらある)
間取り一括請求サービスって、結局はハウスメーカーへの申込情報の入力を別の方法でやらせているだけです。
知らないうちにあなたの個人情報はハウスメーカーの手に渡り、素性も知らない担当が決まり、気に入った間取りはその土地の制限にかかって建たない可能性があります。本当に気を付けてください。
それでもok! とにかくとっかかりが欲しい! という方にはおすすめできるのかな……
間取り一括請求サービスについては、以下の記事でもう少し深堀してみました。
自分だけで土地探しは無理ゲー
これは住宅展示場やLIFULL HOME’Sで話を聞いたら必ずされる話だとは思いますが、素人だけの土地探しはかなり難しいです。
できるのであれば、不動産屋ではなくハウスメーカーの担当者や工務店とタッグを組んで土地探しをしてください。
土地探しの落とし穴を思いつく限り下記に列挙してみました。興味のある方だけカラムを開いて見てみてください。うんざりすると思います。
土地探しで気を付けなければいけないポイント(もっとあるかも)
- 防火地域は窓と外壁のコストに影響
- 防火地域の窓は網が入るため、家の見た目、家から外の景色に影響
- 用途地域によって家の大きさ(主に高さ)に影響
- 用途地域によっては将来高層マンションに囲まれる可能性あり……
- 周辺の建物の高さは日当たりに影響
- 周辺道路は建築資材の搬入費用に影響
- セットバックで建築有効面積が減少
- 北側斜線の制限で天井高(建物の高さ)に影響
- 水道管の口径によっては更新工事で費用に影響
- 擁壁は場合によってはやり直しで数百万のコストアップの可能性
- 擁壁はやり直さない場合でも地盤改良が必要になったときに大幅コストアップの可能性
- 地域によっては緑化面積が設定されており建物の床面積に影響
- 確定測量図の有無で隣地との境界があいまいで争いが起きる
- 土地の特性によっては補助金等が受けられない可能性あり
- 接道幅によっては家を建てられない可能性あり
- 高低差がある土地は土砂運搬費用や基礎工事費用に影響
ちなみに地盤改良は運ゲーなので、気にしなくて良いです。
地盤マップとかのアプリとかも意味ないです。
私の土地は地盤マップで良好でしたが、実際は地盤改良が必要でした。
土地ってこんなに制約があるんです。
間取りを書くにも北側斜線は気にしないといけないし、周辺の建物の状況も見ないといけない。
引き込んである水道管の位置や雨水を逃がす浸透桝の位置も見てからじゃないと間取りなんて作れません。
その土地に自分が建てたい建物が建つかは正直自分では判断できません。
一度家づくり(私の場合は二度ですが)をした身としてこういう背景を理解しているので、自分だけで土地探しをすることも、間取り一括請求サービスの利用も、本当におすすめしません……
ネットで調べる。自分で調べる。
プロから話を聞いた後、あなたは注文住宅の流れを知っているはずです。
これは大きな一歩です。
土地探しは落とし穴が多いことも知っていますし、設計がどうやって進んでいくかも知っています。
そうなってくると、あとは調べるだけです。
調べるときも雑なまとめブログではなく、理想で言えば、それぞれに特化した情報がまとまっているところを見たほうが良いです。
時間があればぜひ、断熱、気密、耐震、意匠、素材、あるいはインテリアなども含めて、それぞれを専門的に扱っている情報源を把握しておきましょう。
ただ、なかなかそこまで調べるのは時間もかかるし難しいので、ざっくり下記のキーワードで検索して、ざっと読み流すくらいはしておくとよいかなと思います。
キーワードとしてこれらについて調べるというよりは、検索するといろんな付随情報が出てくると思うので、それらを薄く広く軽く読んでおくというイメージです。
とりあえず最初はこのキーワードの意味をしっかり理解する必要はなく、なんとなく住宅性能を表現する言葉があるんだな、くらいの把握で良いと思います。
- 断熱:断熱等級、HEAT20
- 気密:C値
- 耐震:許容応力度計算
注意しておかないといけないのですが、このあたりを調べていくとどんどん頭デッカチになってしまって、断熱も気密も耐震も、必ず一番良いものにしなくてはならない、という気持ちになってきます。
自分のマインドがそうなっているな~と気づいたら、上のキーワード+”意味ない”、キーワード+”デメリット”みたいな、アンチ語を入れて調べてみて、バランスを取っておくのをお勧めします。
興味のある業者をピックアップする
ここまで来たらようやく、興味のある業者をピックアップしましょう。
もしいろいろ調べた結果、最初に話を聞きに行ったハウスメーカーがムクムクと気になりだしているのだとしたら、すぐに連絡してみましょう。
そうでない場合、参考になるかもしれないピックアップの方法をいくつか提案してみます。
業者リストからピックアップ
ここで言う業者リストとは種類がいくつかあります。
業界団体の会員一覧や、業者同士が結託してマーケティングのために優良〇〇リストみたいな感じでやっているものもあります。
参考までに、私が見ていたリストを下記に記載しておきます。
(私は工務店に依頼しているので、工務店のリストです。)
ちなみに、1300万の予算オーバーでキャンセルした工務店は、下記のうち構造塾以外のリストすべてに載っています。
リストの中には良い工務店もたくさんありますが、残念な仕事をする工務店もあるので注意してください。
- 新住協 会員一覧
- SAREX 会員工務店
- 構造塾 家づくり応援・業者マップ(着工後に潰れて被害者を出した工務店も載っていました)
- i-works project
- 家づくり百科 近くのつくり手を探す
良くないことが起きているリストもあるのであくまで検索の足がかりとしてですが、たくさんの業者が載っているので、検索しやすくなると思います。
最近だと家づくり百科の管理をしているクオホームさんの動画でこんなものが挙がっていました。
この記事を最初にアップしたのが2023年10月なのですが、2024年4月にはこういった動画があげられるくらい、諸問題が表層化しているようです。
実例からピックアップ
これは言う必要ないと思うのですが、その会社のホームページから実例を見て、自分たちの好みに近い家を建てている業者から選ぶ方法です。
ハウスメーカーは実例がたくさんあると思うので問題ないとして、工務店の場合はホームページやhouzzに写真が少ない場合もあるので、問い合わせをしてみて、直近建てた家の見学会とかに行ってみるしか方法が無いです。
そして、各社の売りをホームページや実際に話を聞いた情報をまとめて比較して、業者を絞り込んでいきましょう。
絞り込むときも、住宅展示場に行ってOKだと思いますが、
もっと確実なのは、お気に入りのハウスメーカーで建てている”施主ブログ”を見つけて、その人に担当者を紹介をしてもらえないか相談してみることです。
ブロガー側にも紹介料が入るでしょうし、邪見には扱われないのではないかなと思います。
その時に注意したいことが、例えば三井ホームなんかは西洋系の家がメインと思われがちですが、モダンな家も建てていたりと同じハウスメーカーでもテイストに幅があるため、気になっているハウスメーカーかつ自分の好きな雰囲気の家を建てている施主ブログを見つけるのがポイントです。
選んで託す
最後は、ピックアップした業者の中から1社を選んで託すのみです。
この段階でここだけは絶対に押さえておきたい! ということを2つ書きます。
- 予算(全て込みの費用)と間取りがいつロックされるのかを確認する。
- 営業の人柄だけで判断するのはアウト。
それぞれ解説しておきたいと思います。
予算と間取りがいつロックされるのかを確認する。
これから家づくりをする人はピンとこないかもしれませんが、住宅業界はちょっとおかしくて、例えば100円で買えますよと言われたものをイザ買おうとしたら150円請求された、なんてことが普通にあります。
私は過去、4000万円で建てられると言われていた家について半年間打ち合わせをした後、5000万じゃないと建てられませんと言われて、しかも4000万円で建てられるような計画なんて最初からしていないと言われて、全てがパーになった経験があります。(過去記事参照)
まず確認するべきことは、自分の予算で家が建つのか、そして予算内の家の間取りと見積もりはいつ固まるのか。この2つです。
ハウスメーカーでも工務店でも、これは必ず聞いておいてください。
もちろん、間取りと金額がロックされた後も設計の打ち合わせはあると思うので、そこで追加した設備やアップグレードしたものに対しては追加料金がかかります。
ただ少なくとも、最初の状態に戻せば家は建てられる、という状況を整えてください。
営業の人柄だけで判断するのはアウト。
これはハウスメーカーあるあるなのかなと思いますが、営業の人が良くしてくれたからとか、一番親身になってくれたからとか、自社のデメリットまで包み隠さず話してくれたからとか、そういうことで業者を決める人が多いのですが、これ絶対やめてください。
営業マンの人柄はあくまでもプラスαでしかないです。
営業マンは設計をしないし、現場で汗を流して施工をするわけでもありません。
営業マンの仕事は受注を取ることです。
やり取りはずっと続くのでウマが合わない人をわざわざ選ぶ理由はありませんが、営業が良い人だったから、多少の不安は飲み込もう! みたいなのが本当に最悪です。
あくまでもピックアップした理由に基づいて判断するべきだと思います。
数千万の買い物です。ぜひ理性的な選択をしてください。
工務店業界で有名な会社が、“家づくりを性善説で進めるのは手落ち”と言っています。
こちらの工務店さんは性能と意匠が高いレベルで備わっており、しかも生産性高く手が届く価格帯で住宅を建てている、本当に素晴らしい会社だと思います。(話を聞いたわけではないので、ネットやその他カンファレンスの情報レベルですが)
しかしそういう会社が、”家づくりを性善説で取り組むのは手落ち”と言ってしまうほど、工務店業界の闇は深いようです。
こういったリスクを抱えきれないのであれば、大手ハウスメーカーを優先したほうが良いと思います。
まとめ
以上のことを、こんな感じでまとめてみました。
1.家づくりの流れをプロから学ぶ。
2.聞いた話を元にしながら、自分でネットで調べて血肉にする。
3.流れもわかり、最低限の知識を身に着けたら業者をピックアップする。
4.自分のニーズと強みが合致している業者を理性的に選択する。
これから家づくりを始めたいけど、なにからしたら良いのかわからない! という方の参考になれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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