注文住宅はこれからどんどん価格が高くなっていくことでしょう。
マンションが暴騰して買えなくなり、もしかしたら戸建の方が良いじゃんブームを仕掛けてくる流れも出てくるかもしれません。
そうなる前に、いま既に起きている。”注文住宅を検討している層を刈り取りに来ている人たち”の動き方をチェックしておきましょう。
工務店×webマーケティング=思っていたより施主に厳しい世界
youtube動画制作会社側の動画を色々見てみました。こちらの動画の、19:40~あたりからオヤオヤという話が始まります。
そもそも工務店がyoutube動画を作るのは集客のためという話から始まります。(それはそうですね)
家づくりについて情報収集する方が増え、ファン化をしなければ売り上げにつながらないためどうにかしなければというところで、youtube動画が手法として流行ってきていると。
こちらの動画ではインプレッションを上げる方法や、購買行動を引き起こすまでに必要なコンテンツなどの凡庸な話が続きますが、19:40~がこの動画の核心です。
施工範囲が限られている工務店がyoutubeで情報発信をすることで、当然ながら全国から問い合わせが来ることになります。
その問い合わせを、“紹介客”として全国の仲間の工務店に売ってまわるわけです。
紹介料が請負金額の3%とすると、3000万の契約で90万円の紹介フィーをゲットできます。
紹介先のパイプさえあれば、メール一本で全国津々浦々に客の売り飛ばせるので、かなりの収益になりそうです。
この紹介フィーが意味のあるお金なら良いのですが、紹介した後は関与しません……というものだと可哀想ですね。youtubeを観て問い合わせをしたのに、全然関係ない会社に売り飛ばされるわけですからね……
工務店×youtube=やがて動画を再生させることが目的になる
工務店はなぜyoutubeを始めるのでしょうか?
大半の工務店は、自社の事を知ってもらい、自社が頑張っていることを知ってもらい、ファンになってもらい、自社で家を建てたいと思ってくれる人を増やしたいから、でしょう。
しかし、法人の公式チャンネルとしての品質を担保した動画を作るのは、大変難しいことです。動画編集の準備をするのも一苦労です。
そこで、動画制作のプロに仕事を頼みます。
動画制作のプロは、つまり動画制作のプロなので非常にクオリティの高い動画を作って納品してくれます。
工務店側も最初はそれでいいのでしょう。自社のことをよく表現した動画に満足します。
こだわりの断熱構成について、こだわりの建材について、注力しているアフターメンテについて……ある程度語ってしまうと、ネタ切れになります。
それと同時に再生回数も伸び悩んできます。
最初ほど成果が出なくなってきます。工務店と動画制作会社は一生懸命考えて”再生される動画”を作り始めます。
手段が目的になるタイミングです。
そもそもネタ切れなので、同じネタをこするかコラボするしかありません。
サムネイルは過激なほうが再生されます。〇〇は絶対後悔、〇〇一択などといった、損失回避バイアスを刺激する言い切り型のサムネイルを大量生産して、やがて自己矛盾に陥っていきます。
顕著だなあと思うのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの「職人社長の家づくり工務店」チャンネル。
動画は知っておくべき基本的な情報が網羅されていて、これから家づくりを始める人は観て損はないチャンネルかなと思います。
こういうサムネイルの動画の中身は、最終的には「住宅性能は強くしましょう」「設備は状況によって適切なものを選びましょう」、という誰でもできるアドバイスをふんわり伝える感じの内容です。
平松社長のyoutubeライブを観たことあるのですが、どうにもこういうサムネイルを作って煽って煽って煽りまくって再生数を稼ごうぜというタイプには見えんのです。少なくとも私には、職人として現場で頑張ってこられた、真面目で堅気な人に見えました。こういう良くない煽りは、動画の制作会社がやってるのでしょうか? その真面目さから、社員を食わせるために断れずにやってるのかもしれません。
平松社長、動画を作って再生数を稼ぐことが目的になっていませんか。
youtube始めた頃のサムネイルと全く様子が違うではありませんか。
もう引き返せないところまで来ているかもしれませんが、一度広告費の使い方について振り返ってみてはどうですか。
初期のすごく良い感じの動画を思い出してください! 私、初期の平松社長が好きです!
とはいえ施主側のyoutuberも状況は大して変わらない
業者側がマーケティング会社と手を組んでいるなら、施主側を観れば良いのではと考える方もいるかもしれません。施主側が動画制作会社に投げるのは結構なコストになって大変ですから。
しかし、状況はあまり変わりません。
結局、タウンライフやライフルホームズの間取り一括請求サービスへの誘導か、LINE登録をさせて囲い込み、自分とタッグを組んでいる優秀な営業マン紹介マンに繋げるのが目的というチャンネルが大半です。
例えばこのコメントのやり取りしている方は、タウンライフを勧めつつ、LINE登録で囲い込んだ方に対しては優秀な営業マン紹介マンを紹介している凄腕youtuberです。
視聴者さんには家づくりに絶対失敗してほしくない! とお話しされていて、すごく情熱を持っている人です。
そして、家づくりでは営業マンが大事と言いつつ、営業がランダムで決まるタウンライフをお勧めしています。
タウンライフで間取り請求をするとその時点で担当営業が決まってしまうことを認識しつつ、「お手軽に間取りが手に入ります」とだけ紹介しています。担当営業マンが決まってしまうことは動画の中では触れていません。あくまでも、1000人以上が使ってます、気軽にどうぞ! というスタンスです。
調べずに申し込む人の責任でしょ、と思ってるのでしょうか。その辺のマインドセットが気になるところです。
ちなみに優秀な営業マン紹介マンの申込フォームでは、明確に”営業担当がついてないハウスメーカーのみを紹介します”と書いています。紹介フィーがもらえないから当然ですね。
私としては、少なくとも自社の施工範囲の客に対しては責任を持つ工務店youtuberよりも、タウンライフと紹介マンを併用して稼いでいるインフルエンサーのほうが、家づくりに失敗する人をより増やしてしまうだろうなあと思っています。
ていうか、タウンライフを運営しているタウンライフ株式会社さんは「絶対に契約しないハウスメーカーから間取りもらえばok」なんて言っているアフィリエイターを野放しにしてて良いんですかね? ハウスメーカーにボランティアを強要して、どんどんサービスの質が悪化していくと思いますけど……
それともタウンライフの至上目的は、リボンモデルで施主とハウスメーカーを結びつけ、より多くの人が自分に合ったハウスメーカーと家づくりを始められるようにサポートをすることではなく、施主の個人情報をハウスメーカーに横流しすることなのでしょうか? そんなことはないはずです。
ちなみに、間取り一括請求サービス×優秀な営業マン紹介マンを使ったえげつない稼ぎ方についてはこちら。
やっぱり本が良いのでは?
こちらの記事で、注文住宅を建てる人は検索ではなく早々にyoutubeでの情報収集に移行しているという仮説を述べました。
そうするとよってたかって来るのは、web業界で跋扈するマーケターです。
人間が多いところに集まってくる彼らは、youtubeもgoogle検索と同じようにあっという間に汚染してしまいました。
Web検索もダメ、YouTubeもダメとなると次を探したいところですが、次を担える媒体は思いつきません。
そろそろ、初心に帰って書籍で勉強ですかね?
私が家づくりをするときに読んでいた本のアフィリンクを貼っておきます。
ちなみにこういうAmazonや楽天のアフィリエイトの場合、カテゴリによって報酬の基準が違うのですが、本の場合はAmazonでは購入金額の3%が報酬になります。
1000円の本1冊お買い上げにつき、30円くらいの報酬が私に入ります。
youtube否定して、アフィじゃん! ポジショントークじゃん! と思われるかもしれませんが、1冊売れて30円ですからね……まとめ買い等、一回の報酬の上限額も確か1,000円とかで決まっています。
間取り一括請求サービスを無料で申し込ませることによって1.4万円稼げるということを考えると途方もない報酬の差です。
良い商品で誠実に儲けることは、大変難しいことだというのがわかりますね。
三方良しで、堂々とお天道様に顔を向けてお金を稼いでいくということは、きっとこの難しさと向き合っていくことなのでしょう。
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