最初に
※この記事は1300万の予算オーバーの末、工務店から連絡が取れなくなったタイミングで書いていた記事です。
ことの顛末は下記記事にまとめていますので、この工務店との家づくりの結末だけを知りたい方はいずれかの記事をお勧めします。
【大失敗した家づくり】工務店やハウスメーカーの選び方で一番大切なこと
【注文住宅】予算オーバーで減額調整の末に解約した経験者からのアドバイス。
本編
7/2(日)に送った工務店さんへのキャンセルのメールが、7/13(木)現在なんの返信もなくかなり驚いています。
工務店さんにとっては、私はもう金にならない貧乏で面倒なやつなのかもしれないなと思うと結構悲しさがあります。
半年も打ち合わせをして家のことをたくさん教えてもらってお世話になったのは間違いないので、最後はお礼を言って終われればよかったのだけど・・・。
打ち合わせ中は設計イメージに近いカフェを案内してくれたり、浅草のどじょう鍋やめちゃ美味いBBQをご馳走になったりといろいろと親身になってくれましたが、私はしょせんは客でそういう対応もしょせんはグリップのためで、そして金の切れ目が縁の切れ目だったということなのでしょうか・・・。あんなにやさしくしてくれたのに、こんな結末になってしまうとは悲しい限りです。
徐々に連絡を取らなくなって手切れとなる学生カップルみたいなムーブを、一企業の代表取締役がかましてくるのが予想外で驚きとショックを隠せずついつい恨み節になってしまいますが、しかしこっちはもう土地を決済してしまっているので、前に進まなければならない。
今回の失敗を繰り返さないために、振り返りをしようと思います。
なにが起きたのか
当初もらっていたプランでは予算に合わず、建築を断念しました。
半年間かけて打ち合わせで話したものすべてを排除しても、予算に収まりませんでした。
減額プランもいくつかもらったが、27.9坪から面積を減らせない場合は、工務店が「使わない/使いたくない」と公言している素材に手を出さなければ予算が合わない状況になっています。
考えられる原因
・プラン時点での見積もりを取らなかった
・プランが出た後、中間で見積もりを取らなかった
・現在、とてつもないインフレの局面で、住宅の値段も馬鹿みたいに上がっている。
反省
最後の打ち合わせで個人的に気になる発言をしていました。
「未だに値上げの連絡が来る。見積もりを取らないと概算もできない状況」
「最初はフルスペックで提案しているので」(新建材を使うという話の段で、「あまり要望はしていないつもりだったがそれでも予算オーバーするんですね」という話に対しての回答)
発言を鑑みると、プラン時点ではどんぶり勘定だったこと、”施主の要望で予算オーバーする”のではなく、”予算オーバー前提でプランを組む”という仕事の進め方だったことがわかります。
私としては、出てきたプランが前提で、そこに施主の要望を盛り込み、その要望が原因で予算オーバーするため、そこから減額案を作っていく、という認識だったので、ここですれ違いが発生してしまっていたようです。
プラン申し込み金として20万円も支払っているので、てっきり最低限建てられる状態で提案してくれると思い込んでしまっていました。
単なる私の勘違いと思い込みが招いた事態です。
まさか最初からそもそもプラン通りには建てられないとは甚だ思っておらず、減額調整に対する覚悟が全然足りていませんでした。
この仕事の進め方が工務店業界ではスタンダードなのかもしれないが、個人的には驚きです。ただ、土木屋の父親に聞いてみると、予算を逸脱した計画は建築士法に抵触するんじゃね? と言う話だったので、何が正しいのかはわかりません。
約半年間も隔週で事務所に通って、作れない建物に対していろいろ打ち合わせしていたかと思うと、自分がだいぶ滑稽に思えて悲しくなってしまいます。施主の目の前で社長に毎回きつめに詰められていた設計士さんも虚しくなっていたのでは?(最後の打ち合わせにはいなかった。設計士さんにもちゃんとお礼を言いたかった・・・)
行き場の無い思いのたけ
※下記は事実の羅列ではなく、私はいま当該の工務店に対して不信感マックスなので、そういうバイアスがかかっている状態で書いているという前提で、しかも施主側の偏った意見であることを踏まえたうえで読んでいただければ。
今回の失敗を総括すると、つまり私のお金が足りなかったということ。
ただし、こちらは予算を提示しているし、資金計画書は工務店が作っている。プラン開始の時点で、20万円という安くはない金額を払っています。
いま工務店業界では、見積もり提示すると驚かれてつらい・・・みたいなことが起きていると随所で見聞きするが、それ、いったいどういうことなのでしょうか?
3000万円で建てられますよと言って呼び込んで、後戻りしにくい状態になるまで時間をかけて、接触回数を増やして関係性を築いた後に「はい4000万円也」と言っているのでは?そういう小汚いアップセルの営業手法が業界のスタンダードとなっているのでは?
「いま価格が上がっていて4000万円かかるかも・・・」と明確に伝えていた人に4000万円の見積もりを出したところで、少なくとも驚かれたり、斜め上ですと言われることはないはず。なんでそんな”驚かれる”ことが起きるのかよくわからないです。驚かれるということは、想定できない展開になっているということだ。とにかく受注して押し通そうとしない限りは起きない悲劇のはずです。
私は最初に見積もりが出てきて、さあこれから1300万の減額調整だ! という状態なのに、「建てることは決まっているので地鎮祭をやっておこう」と言われたことが不信感の萌芽となりました。
工務店さんからすると、着工が妻の出産前後の日取りになる予定だったため、動けるうちに早くやっておこうというくらいの意味しかない発言だとは思います。
しかしこれから1000万以上減らさなければという状況。
こっちからすると今まさに建てられるかわからなくなったわけで、これは外堀を埋めることで後戻りする心理的ハードルを上げまくり、減額案をのむしかない状況を整えようとしているのではと邪推してしまいます。 1300万の予算超過を告げた日に、さらに金のかかる話を持ってくる神経も、商魂逞しくあっぱれです。
私も元営業職で、家ほどではないが人それぞれの哲学が多分に介入する業界にいたことがあります。
クレームを防ぎ、顧客を納得させるには”自分で選ばせる”というのはとても有効な手段です。
選択肢を提示して、自分で選ばせる。そうするとその商品を買った責任は買った人に帰する。売った人は、希望に沿って売っただけだという主張を通せる……
あくどい営業マンは、顧客を視野狭窄にする方法をたくさん知っています。選択肢の中から選ぶしかない、という状況を演出するのがとにかく上手いです。
外堀を埋める、サンクコストを重くするというのは典型的な手法です。
注文住宅では、まずは自分のわがままな要望をあれこれ詰め込み、予算を超え、そして詰め込んだ要望を自分の意思で排除していき、予算に収めていくのがセオリーだそうです。
床面積を減らしたのも、吹き抜けを無くしたのも、造作家具を辞めたのも、家事動線を切ったのも、すべて自分の意思である。いろいろなものを天秤にかけて最後に残ったものがその家らしさ、施主らしさなのである・・・
しかし、私たちの要望はその工務店がスタンダードとしている素材と性能そのものだったので、間取りも変更していないし、新規追加した要望は恐らく物干し竿と立水栓とコンセントくらいのものでした。
なんならクローゼットは1Fにほしいとかリビングは1Fが良いとか在宅ワーク用の書斎は個室が良いとか、そういう要望はプランの段階で否定されて弾かれています。
つまり、施主要望箇所が少なく、減らすところがあんまり無かったのです。
だからいつものスキームで通らなかった、のかもしれないなと勝手に思っている。もはや連絡もくれないので、確かめようもないんですよね。
そんなに要望が無いならなんで注文住宅を建てるのか、と考えると、その工務店の家が欲しかったからという答えになります。
とても良い素敵な家を建てる工務店なんです。
だからキャンセルの連絡を送った直後は、もうその工務店では家を建てられないことになったので、妻が「建売にするか~」とか「中古で良いところないかな~」「マンションも見てみる?」とか言うのですが、残念ながら土地は購入済み。ここからは後戻りできない。なんとも悲しい結末。
教訓
まさかプロジェクト管理が必要だとは思っておらず、プロフェッショナルを信じて任せきってしまっていました。だって、「良い家を建てるコツは任せた業者を信じること」、とその工務店が言っていたから・・・
信じるべきではなかったという意味では決してなく、プロのノウハウが通用しない情勢になっているということなんでしょう。
信じるところは信じて、管理するところは管理する。そういう動きが必要だと分かりました。
ではどうすれば今回の失敗を防げたか?
・資金計画を書面で作って渡す/書面で作ってもらって受け取る。(Keep)
・お金を払ってでもプラン時点の見積もりを取る。嫌がるなら責任を持ってもらう。(Try)
・プラン時点の見積もりから金額が上がる可能性がある箇所を事前に把握しておく。(Try)
・議事録を取って打ち合わせ後に共有して共通認識をつくる。(Try)
・あと何回打ち合わせがあるのかを毎回確認して終わる。(Try)
・打ち合わせの冒頭では今日決めること、最後では持ち帰って次の打ち合わせまでに決めることを毎回確認する。(Keep)
新卒に教える事みたいになってしまうが、こんなところでしょうか。
と、この記事を書きながらも何社かハウスメーカー、工務店さんを回っているが、皆さん複写の議事録を取って最後に渡してくれる。もしかして議事録を業者側がとらないほうがおかしいのでしょうか・・・?
当該の工務店では、議事録なんて一度ももらったことが無いですが・・・
次に向けて
会社名の公表は避けるが、今回お願いしたのは首都圏の新住協Q1.0マスター会員である工務店でした。
つまりそのあたりの会社で建てる性能モリモリ造作モリモリの家は坪単価でいうと200万くらいになる時代が来ているというわけです。(この坪単価には給排水工事、駐車場の土間コン程度の外構費と税金、設計費が含まれている。土地代と地盤改良費はもちろん入っていない。)
今回最初に出てきた見積もりは、27.9坪5,280万円でした。
綿密に打ち合わせをした造作棚をすべてイケアに変えて23.9坪まで減らしても4,300万くらいでした。
外構も植栽はやめてもらおうと思ったら最初から植栽は入っていなかったですw
ちなみに土地の状況も書いておくと、38坪で東西に12m南北に9m程度の整形地。南接道で都市ガス管は無し。浸透桝は埋まっているものをそのまま使う想定で水道管もちゃんと通っていて特殊な工事は必要のない土地。
もうイヤになってくるくらいのコストアップだが、土地は買ってしまっているので依頼する業者さんをすぐにでも決めなければならない。
すでに何件か話を聞いていて、その中には工務店もハウスメーカーもある。この2業態でも家の作り方がだいぶ違うなと感じています。
次は工務店と契約するのかハウスメーカーと契約するのかはわからないが、今度こそうまくいくよう頑張らなければなりません。半年間もかけて、買えないものの打ち合わせをするなんてなかなか無い経験だったので、せっかくなので次に活かしたいです。
そして、ハウスメーカーは言わずもがな工務店だってビジネスです。
家づくりに情熱をそそぐ傍ら、社員のためにも稼がねばなりません。
雑誌やラジオなどで、「良い家を建てるコツは「信じられる業者を探して、信じること」」という発信をしている工務店だって、ビジネスをやってます。
そしてそういったプロフェッショナルな業者ですら先読みすることができないインフレ情勢になっているわけだから、発注者も信じ切るだけでなくしっかりアンテナを立てなければならないのです。
「このまま予算が合わず、もしくは予算に合わせてプランとはかけ離れた家になる減額案を受け入れられなかった場合はどうなるんですか?」という質問をしたときに、「さあ・・・どうなるんでしょう、あまり経験がないもので・・・」と返されたときにしっかり整理をして、(言葉はキツいが)追及をするべきだったし、本当はもっともっと早く聞くべきでした。
プラン時点、打ち合わせの中間、地盤調査に入る前と、タイミングは何度もあった。そこで確認しておけば、予算オーバーになったとしても少なくとも手順に従って解約を進めればよいので、ここまでストレスを抱えることはなかったはずです。
結果的に連絡が返ってこなくなったわけだが、ちゃんと「その場合は連絡が返ってこなくなります」と話を受けていれば、こんなにヤキモキすることはなかったのでしょう。
家は3回建てないとわからない、とも言う。私は今回の件で0.5回は建てたことになるのではないでしょうか。
そういう気持ちで、よりよい家を建てるために、今回の記録を読み返しながら丁寧に打ち合わせを進めていきたい。なんとか8月上旬には建築会社を決める予定です。
とりあえずは、どうなる、注文住宅シリーズとしてはこれにて完結・・・になるはず。
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