googleの検索エンジンが1日に処理している検索数は、約30億クエリ(=キーワード)らしいです。
1年で1兆を超えるクエリを処理していることになります。
とてつもなく膨大なデータです。そして、この検索クエリの分析ってとても楽しいんですよね。
今回は住宅業界を取り巻く検索トレンドという大きな流れを調べて、遊んでみました。
注文住宅と建売
web検索
こちらは「注文住宅」及び「建売」のweb検索量の推移です。
建売の2022年2月の検索ボリュームを100%として、トレンドの動きを可視化しています。
注文住宅は2022年2月がマックスとして、基本は横ばいで推移しています。
つまり「注文住宅」で検索された回数は2016年以降、ほぼ変わらず推移しているということになります。
一方で赤の建売はじわじわ伸びて、感染症が流行った2020年からワンマーク上がった感じがあります。パンデミック下での戸建需要は、建売に支えられたのですかね。
youtube検索
そして下は同じく「注文住宅」「建売」の検索数ですが、この図はyoutubeでの検索トレンドを可視化したものになっています。
web検索では常に建売のほうが検索ボリュームが大きかったのですが、youutubeにおいては「注文住宅」の検索トレンドが右肩上がりになっています。こんなに違うのは面白い傾向ですね。
仮説としては以下の感じでしょうか?
- 注文住宅購入検討層は、早々にgoogle検索での情報収集を諦めてyoutubeで深堀を始める。
- youtubeで注文住宅について調べている層は、必ずしも購入検討層ではない。
(=建売でも間取りや内装を調べるために検索している可能性あり)
高断熱
住宅性能について調べてみたいのですが、表記ゆれでたくさんのパターンがでるので、性能に関しては調査するキーワードを「高断熱」で固定することとしました。
高断熱というキーワードに関しては、ほぼ横ばいであるものの、じわじわと右肩上がりのトレンドに見えます。
そして面白いことに、一定の周期でスパイクが立っているようにも見えます。
調べてみると、このスパイクは毎年12月-2月に立ち上がっていました。
毎年寒くなってくると高断熱という言葉で検索することが増えるのですね。
ちなみに暖冬だった2019年度の冬と2023年度の冬はスパイクが立っていません。
寒い冬には、高断熱というキーワードが売れそうですね。
それを理解した上でこのグラフを見ると面白いですね。
「ヒートショック」は毎年冬の売れっ子キーワードです。
情報をバズらせたいときは、このトレンドに乗っかるのはとても大事です。
なにせこのスパイクは、短期間で検索ボリュームが増えていることを意味しています。
断熱等級
これは断熱等級4-7の検索トレンド。
断熱等級5,6,7がの歴史が浅いということもあり、断熱等級4が安定的に検索されているようですが、現在に至っては断熱等級4だろうが断熱等級7だろうが、ほぼ同じトレンドで検索されています。
乱暴な仮説ですが、断熱等級4について調べる人は断熱等級5も断熱等級6も、もちろん断熱等級7も、ちゃんと調べていると言えるかもしれませんね。
ちなみにデモグラを見てみると、断熱等級4は全国広く検索されている一方で、断熱等級7は関東圏及び寒冷地で検索されている傾向にあるようです。
なぜ関東圏でも断熱等級7が比較的多く検索されるのですかね。不思議で面白いですね。
断熱等級4~7まで、広く検索されるくらいにトレンドが醸成されていますが、では足元ではどういう建物が建っているのか、twitterの叡智を借りて教えてもらったデータをもとに見てみると、現状では等級4と等級5でほぼすべての家が建っているようでした。(データは任意で収集しているようなので、正確な分布ではないと思われます)
断熱等級5、断熱等級6、断熱等級7が断熱等級4と同じくらいのボリュームで検索されるようになったのは2022年頃からのようなので、今建てている家からこのあたりの断熱性能を持った家が増えてくるかもしれないですね。
工務店vsハウスメーカー
工務店、というキーワードがかなりファジーなものなので、正確なデータは取れませんでした。
一応youtube検索のものをおいておきますが。
ハウスメーカー対抗
web検索
youtube検索
ぱっと思いついたハウスメーカーの名前で検索トレンドを調べてみました。
2019年のyoutubeで何が起きたのか、一条工務店がグッと勢力を伸ばし、web検索では上位を抑えられていた積水ハウスを抑えて1位になっています。
確かに、一条工務店はコンテンツも多い気がします。
youtubeで全然検索されない三井ホームは、確かにコンテンツも少ない気がします……
検索トレンドを分析するときの注意点
検索ボリュームを調べていくと、より多く検索されているキーワードにポジティブな印象を抱きがちですが、検索ボリュームはあくまでも検索された量でしかありません。
例えばクルマのリコールが発表されると、その車種やメーカーの検索ボリュームは爆発的に増えますが、その中実は全くポジティブなものではありません。
検索トレンドを俯瞰して、一定の周期が見えるなと思ったら気温を調べてみるとか、ある時期を境にグンと伸びているなどがあればそのとき起きた時事ネタを調べてみるとか、そうやっていくと本当はもっと面白いのですが、今回は面倒くさいのでとりあえずここまで。
断熱等級が調べられているのは、少なくとも肝心は向けられているということで間違いはないので、良いことですね!
データを見てワイワイするのが好きなので、おかしいなとか思ったところなどがあれば教えてください!
ちなみに検索ボリュームは「googleトレンド」で無料で調査できますよ。
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