家づくりの情報を集める際、どういった媒体のデータを参考にしますか?
恐らく多くの方がインスタグラム、youtubeを情報源としているのではないでしょうか。
実際、私も数冊の本に加えてyoutubeは大変参考にさせていただいておりました。
ただ、なんだか最近目に余るほど”再生数”に固執する、上品とは言えないチャンネルが増えているような気がしています。
たぶんどこかの制作会社がランナーを伸ばして工務店界隈全体が飲み込まれているのだと思います。
“良質な”チャンネルを見抜くにはどうしたらよいか、まずは制作会社の作戦をハックしていきましょう。
PASONA法
PASONA法ってご存じでしょうか?
- Problem:問題
- Affinity:親近感
- Solution:解決策
- Offer:提案
- Narrowing Down:絞り込み
- Action:行動
商品を”買わせる”方法、顧客に”アクションを起こさせる”方法として有名なフレームワークです。
例えばサクッと考えるとこんな感じでしょうか。
「注文住宅を建てたい! と思って色々調べても、情報が多すぎて何から手をつけたらよいのかわからない、そういった悩みを抱えていませんか? かくいう私も、かつてはそうでした。我が家を建てるとき、調べても調べてもスッキリしない……まずは何から始めればいいの? いきなり展示場に行くと変な営業マンに捕まえられそうって言うし……、と色んなことが不安でした。でもそれって、逆を言うと優秀な営業マンさえ味方につけることができれば全てが解決するってことなんです。その優秀な営業マンを見つける方法をお教えします。もちろん無料です! しかも今なら期間限定で、100万通りの間取りが載っている間取り集も無料でプレゼントします! 間取り集の数に限りがあるので、ご希望の方は早めに下のURLからLINEで友達登録してください!」
煽り系サムネイルの動画の冒頭では、だいたいこの流れで始まります。
つまりこの流れが組み込まれている動画の目的は、動画で有益な情報を伝えることではなく、LINEの友達登録やその他、自社のCMS(顧客管理システム)に視聴者との接点を作ることです。
動画の中身はコンテンツとして耐えうるものであれば別になんでもいいわけです。
最近、すごい類まれにみる超テンプレPASONA法だ! って思ったのは以下の動画。
PASONA法の教科書です。
この人の動画、初期の頃は落ち着いたトーンで有益な情報も多かったんですが、変な制作会社が入っているのか、最近はこんな方向性になってきちゃいました。
損失回避バイアス
損失回避バイアスという言葉もだいぶ有名になったと思います。
“得をするかもしれないが損もするかもしれない選択肢”と”得はしないが損もしない選択肢”を並べると、人間の脳の特性上、どうしても後者が大変魅力的に思えてしまう、という仕組みのことを指します。
人間は”損失を回避する”ということに非常に大きなメリットを感じてしまう生き物です。
「〇〇すると10年後に得をする!」という前向きな文句より、「〇〇しないと10年後に損をする!」というネガティブを回避できるよという情報の方が人間を動かしやすいよねというのが、マーケティングの定石です。
でも業者はいろんなしがらみでもあるのか、動画内でサムネイルほど過激なことを言わないケースがほとんどです。
実際、煽るだけ煽って、結局サムネイルで言ってたことってどうなったの? ってなる動画も少なくないです。
例えば以下は「知ったら採用しない蓄電池の落とし穴」という煽りサムネイルですが、結局「蓄電池はメリットもデメリットもありますので、しっかり考えて導入しましょう」というオチです。
上で貼った”ミワの庭”と”職人社長の家づくり工務店”はコラボしてるので、たぶんyoutubeの制作会社が一緒なんでしょうね。愛知あたりに拠点がある制作会社なのかなと勝手に予想しています
じゃあどんな動画だったら質が良いのか?
結局、動画の内容をちゃんと誤解なく伝えたい、という気持ちがあれば、煽るようなサムネイルを作るような思考にはならないと思います。
そして視聴者としても、自分を刈り取るような内容ではなく勉強になるような動画を観たいのだと思います。
観ることで勉強になり、戦う武器を手に入れることができるという動画こそが質の良い動画と定義した場合、
そういう意味ですごく安心して観れるyoutubeはGarden Designer chさん、モリシタアットホームさんあたりです。大好きなチャンネルです。
2つのチャンネルともに、激しい作り込みをしていない点と、笑顔のおじさんのシンプルなピンショットが共通しているかなと思います。
Garden Desginer chのセンムさんがときどき黒板に描く絵は味がありますし、モリシタアットホームさんの板書はなんか癒されます。
お金をかけて制作会社に外注した場合、抱えるKPIが再生回数とかチャンネル登録者数とかになりがちなので、やっぱり再生回数を伸ばすための煽りサムネ、チャンネル登録や顧客接点を作るためのPASONA法などのマーケティングフレームワークに手を出さざるを得ないのでしょう。
個人的に質の高い動画を公開してくれている人は、以下のポイントが傾向としてあるのかなと思って、チェックポイントにしています。
なお、あくまでも傾向です。ポイントを押さえているからといって必ず質が高いとは言えませんし、その逆もしかりです。
ただ、住宅系youtubeはだいたい言ってること一緒なので、安心して視聴できるチャンネルを2,3捕まえておけば十分だとも思います。
- サムネで煽らない
- サムネで煽ったとしても、その内容を動画の中でちゃんと断定している。
- 動画の冒頭で煽らない/PASONA法を使わない
家づくりにおいて、Google検索がタウンライフアフィによって汚染されて使い物にならなくなったように、恐らくyoutubeも同じ流れが来ます。もう始まっています。
情報の真贋、質を見抜けるようになっておきたいですね。
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