私は注文住宅を建てるにあたって、1年の間で2回も業者選定~詳細設計までを実施しています。
その理由はよくある予算オーバーなのですが、なぜ予算オーバーしたのか工務店に聞いてみると、
予算を考慮したプランニングはしていないと言うし、
そもそも見積もりなんて詳細設計が終わらないと作ることはできないと言うし、
減額調整は全員が通る道、しかしそれこそが家づくりの醍醐味なんです!
と言っていました。
そうか、みんな大変なんだな……と思いつつも、無い袖は振れないのでその工務店を解約し、
新たな工務店と家づくりを始めました。(2024年8月、無事に引渡済み)
※見積もりの比較はこちらの記事で。
同じ工務店業態でも会社が違えばこんなに違う。
家づくりって恐ろしいですよね。
こんな高額な買い物なのに、囲い込まれて他社のことがわかりません。
だから基本、家を建てた人は任せた業者の仕事の進め方しか体験しないですよね。
私は最終図面の確認までを2社で経験しているので、
同じ工務店業態でも、こんなに違いがあるんだと知ることができました。
予算オーバーで解約した工務店をZ工務店、
現在着工に向けて話が進んでいる工務店をA工務店として比較をしてみました。
はい、A工務店ではファーストプラン提示の時点で見積もりが出ています。
設計が詰まらないと見積もりが出せないというのは正確に言えばウソで、
設計が詰まるまで見積もりを出さないというのが実態です。
フルオーダー品の見積もりはそもそも大変で、建築の見積もりとなると相当大変なのでZ工務店の言い分は理解できますが、さすがにファーストプランの時点で1,000万オーバーは外し過ぎだろというのがこちらの言い分です。
予算オーバーして減額調整で苦しまないために
注文住宅って予算オーバーになるのが普通みたいな空気がありますが、全然そんなことはないようです。
私は予算オーバーした経験も、予算オーバーしなかった経験もしていますが……
予算オーバーしない家づくりのほうが圧倒的に楽しいですよ。
もちろんあまりにも予算と乖離した要望を積み重ねると、当たり前ですが予算を超えます。それは施主の責任。
しかし少なくとも納得できるファーストプランを頂けて、そしてその時点で500万以上予算に余裕があれば、そのあとの打ち合わせはとても楽しいものです。
予算オーバーにならないために、プラン申込前に必ず2つの質問をしてみてください。
- 間取りと金額のロックはいつですか?
- 中間見積もりは出せますか?
間取りと金額のロック
間取りと金額のロックは、間取りも固めるわけなので、ある程度こちらの覚悟も必要です。
しかし当然ながら間取りくらいは固めておかないと、見積もりは出せませんよね。
ですがこちらも間取りを固めることで、ファーストプランの状態で予算内なのかがわかりますし、予算内だった場合はこのプランに戻せば少なくとも家は建つ、という大きな安心材料を得られます。
信じられないことかもしれませんが、8コ入りのたこ焼きを100円で買えるというから注文したら、「思ってたより材料が高かったので150円ですね~、2コ減らしたら100円になりますよ!」って言ってくる業者が普通にいるのが工務店業界の怖いところです。
ハウスメーカーはこの辺しっかりしていると思います。
しかしハウスメーカーは、この後にオプション追加でどんどん値段が上がっていくそうなので、キッチンのグレードアップ等、追加が想定される費用はあらかじめ伝えて予算確保してもらった方が良いですね。
中間見積もり
中間見積もりについても大事です。
今回順調に話を進めているA工務店の場合は、毎回の打ち合わせの冒頭で、前回の打ち合わせで変更した点の増減額を、書面でまとめて1円単位で教えてくれました。神対応です。
ここまでしてくれる工務店は少ないと思いますが、例えば打ち合わせが計5回あるのだとしたら、3回目の打ち合わせで中間の見積もりを出してくれる工務店は結構あると思われます。
少なくともプラン時点の見積もり、中間見積もり、最終見積もりを出してくれる工務店で家を建てるのが個人的にはおすすめです。
中間見積もりの時点で予算オーバーしているのであれば、残りの打ち合わせでさっさと減額調整に入れますし、まだ予算に余裕があるのであれば追加の要望が出せます。
見積もりの精度について確認
そして上の2つの質問をして、納得できた工務店に申し込みをして打ち合わせに入った後、
間取り・予算がロックされるタイミングになったら、もう1つ質問をしてください。
- 今後いろいろ追加・変更して予算オーバーとなった場合、このプラン、この間取りに戻せば今の予算で建てられますか?
この質問で、見積もりの正確性について確認を取ってください。
適当に坪単価で計算したような見積もりでは、この質問にイエスとは答えられないはずです。
もちろん、細かいガス配管や給排水工事で多少の増減は起きうるものです。
しかしそういったマイナー変更では基本的には100万以上の増減はないはずです。
私がいま話をしているA工務店さんは「設計をこの時点に戻せば、この予算で建てられます」とハッキリ答えてくれました。
減額調整やVE(バリューエンジニアリング)でやったことと削減金額
私は1300万予算オーバーしていたため、減額調整もダイナミックでした。
- 造作家具を無くす①:半年かけて打ち合わせした造作家具をすべてIKEAに変更。
- 造作家具を無くす②:工務店側からの提案だった造作の外物置を一番安い既製品に変更。
- 壁を減らす:パントリーと書斎を隔てる壁を無くし、IKEAの棚で間仕切る。
- 窓を減らす:南側の窓をゼロに。
私たちからの要望は物干し竿しか残っていない状態にしました。
ファーストプランよりも作り込みが減った状態になりました。
このような減額調整で減らせた金額は、せいぜい400万円(税込み)程度です。
減額調整やVE(バリューエンジニアリング)という言葉に夢を見ない方が良いです。
打ち合わせたものをすべて排除したところで、400万円程度しか圧縮できません。
なんとなくの体感ですが、造作家具を減らしたり設備のグレードダウンで減らせる金額は、建物総額の10%前後が限界です。
10%以上減らさないといけない状況なら、面積を減らさなければ間に合わないです。
あなたが頼もうとしている工務店が、
「最初は予算オーバーを気にせず夢を詰め込みましょう。
減額調整は苦しいですが、それを乗り越えることで、こだわりの詰まった無駄のない家が作れます」
的なことを言っていたらかなり要注意です。
「最初から予算を気にして我慢すると家づくりは楽しくないですよ」というのも要注意です。
現在の金額がわからないとビクビクして結局我慢するので全然楽しくないです。
(我慢してたので、減額調整で減らすものがありませんでした)
こういうことを言う工務店で家を建てようとすると、
元々最小限で計画していた坪数をさらに減らして予算ギリギリに収めていくという、
当初の希望とはずいぶん違った家になってしまう可能性が高いです。
もちろん、4人家族で40坪欲しいところを30坪にしましょうという話ではありません。
「4人家族なら27坪が適切ですよ」と言われて27坪でお願いしたものが、
「23坪でもいけますよ」「22坪でも工夫次第で大丈夫です」……と減らされていくわけです。
これが、こだわりのスーパー工務店で予算オーバーした場合の減額調整のリアルです。
だから、絶対にファーストプランの時点で見積もりを取りましょう!
そして、見積もりが合わなければ諦めて他の業者を探しましょう!!
金銭的にもスケジュール的にも気持ち的にも、引き返せるうちに!!
じゃあどう進めたらいいの? という方へ、下記の記事に私が考えるベストな進め方をまとめてみました。
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