2022年12月、箱根に旅行に行きました。
その写真を見返すとダウンを着ているわけです。
ところで2023年12月、どうでしょうか。
ここは神奈川県ですが、つい最近20℃を超えまして、半袖で歩いた日もありました。
2023年12月現在、絶賛基礎工事中の我が家は断熱材にある程度課金したわけですが、いまさらながら疑問に思うことがあります。
このまま冬が暖かくなってしまったら、断熱等級ってどうなるんでしょうか?
ジッサイ、都市部の冬は暖かくなっている。
気象庁のデータです。
左側が2010年1月の平均気温、右側が2018年1月の平均気温。
小さく見にくいのですが、横浜で言うと0.5℃くらいだったものが、9年間で3℃くらいまで上がっているようです。
2023年現在、このデータからさらに5年経ってるわけですから、もうちょっと上がってそうですね。
もう少し調べてみると、以下のページがありました。
1896年からの気温データをまとめてくれています。
このページのデータを拝借して、横浜(神奈川県)の毎年1月の平均気温をグラフ化してみました。
この図を元に、かなり乱暴な予想をしてみたのが以下の図。
1896年から2022年までのデータでトレンドラインを引き、そのまま伸ばしたという大雑把なものです。
これによると、約20年後には平均気温が7℃近くまで上がることになります。
↑は一日の平均気温を元にしたデータなので、今度は最低気温で同じことをして、2040年の予想をしてみます。
これはなかなか、露骨にショッキングなグラフな気がしますね。
最低気温のトレンドが3℃に達するというのはまあそうなんですが、同じデータを散布図にしてみるとすごいです。
横浜って、昔は最低気温の平均が0℃下回っていたんですね。露骨に気温上がっているのですね。
1日の平均気温でグラフを引いたとき、トレンドラインは丁度真ん中を割るような印象ですが、最低気温でグラフを引くと、実測値がトレンドラインよりもやや上振れしているような印象です。
ここまでのデータでの仮説)
- 直近の最低気温の上昇率がこれまでのトレンドよりも大きくなっている
- 最高気温の上昇率がトレンドよりも小さくなっている。
最低気温がすごい勢いで上がり、最高気温の上がる勢いが小さく、結果として一日の平均気温が安定して上がっている?
確かめてみました。
確かに、こう見ると明らかに最高気温の上昇率は落ち着いているように見えます。
落ち着いて見えるだけだと科学的に良くないので、検証します。
同じグラフにしてみるとこんな感じでした。
最高気温平均のトレンドラインの傾きは0.0187
最低気温平均のトレンドラインの傾きは0.0304
上記のため、上昇率は大体1.6倍くらい異なることになるのかな?(こんな計算ある?w)
この段の結論!!
- 都市部の冬は暖かくなっている。
- 最高気温も上がっている
- それ以上に最低気温が顕著に上がっている
高断熱住宅の未来は?
断熱等級の歴史について調べました。
最初は断熱材の厚さで決まる基準があったようですが、現在使われている断熱等級の根拠は、Ua値やηAC値です。
この基準は平成28年(=2016年)に決められているそう。
Ua値とは、どれだけ室内と室外で熱が出入りするか、で測られる数値です。
断熱材の厚みだけでなく、窓の性能や窓の大きさも数字に影響してきます。
熱貫流率(=1℃差あるときに内外に通す熱量)を壁や窓の面積で平均したものがUa値らしいです。
で、このUa値によって断熱等級やHEAT20といった、住宅性能が決まってくるわけです。
だから断熱材を厚くしたり、性能の良い窓にしたりする。
そうすることで全体の熱貫流率を底上げして、数字を取りに行くわけです。
そして、この断熱等級というのは最終的に、住宅で使われるエネルギーが基準よりもどれだけ削減されるかの指標になるわけです。
あれ……? って思ったのが、今回の記事を書くことになった核心でした。
冬の平均気温が上がっていくと、今の基準よりも勝手に省エネになっていくのでは?
冬の夜の方が昼よりも暖房費がかかりますよね。つまり暖房エネルギーの量は外気温に影響されます。
Nature RemoのNature社のブログに、外気温による空調費の話が書かれていました。
外気温と室内の温度差が小さくなればなるほど、一次エネルギー消費量が小さくなっていきます。
結果として、断熱等級が疑似的に、実質的に上がっていくわけです。
断熱等級とは別のHEAT20の基準は、室内が〇〇度以下にならない、という目安でG1,G2,G3というランクが設定されていますから、この基準のクリアも今より20年後の方が楽勝になっているはずです。
(HEAT20について)
それなのに、なぜか断熱等級の最低基準が5→6→7と上がっていきますよ! いま断熱等級6を取っておかないと損するよ! と実務者の方が仰るのはなぜなのでしょうか?
どういうロジックで、そんなことが言えるのかを教えてくれる方はいらっしゃらないでしょうか……
私も断熱にある程度課金をした身なので、なぜ断熱性能をもっともっと上げる必要があるのかを確認して安心したいです。
このあたりの目論見や、業界内での視点について教えてください、実務者さん!!
コメント
コメント一覧 (2件)
某有名工務店のメルマガの件でしたら検討する内容が少しズレていると思います。
あの内容は世界的な政策の傾向と、今後の日本の政策方針から6にしておかないと後々損をする可能性があるよ、という内容だと理解しています。
なので、気温と実際の消費エネルギーの観点から考えるのであれば
その先に温暖化することでエネルギー消費が減るから、先進的に制作を行っているヨーロッパ等の政策方針がこう変わってくるはずだ
とすると日本の現在の方針も行く行くはかわってきて現在の方針も変わってくる
とすると某メルマガの内容とは違ってくる将来になるので等級を上げなくても大丈夫だ!
といったように調べていくと安心できるかと思います。
コメントありがとうございます!!
実は某工務店さんのメルマガより先に、この記事の下書きをしておりました。意図せずタイミングが被っちゃいました。
核融合発電の実験炉もヨーロッパにあるので、電力需給の状況も10年後には結構変わっていそうな気がしますね。
断熱材は今のところ厚ければ厚いほど良いと思いますが、冬があったかくなったのに最低ラインが過剰なまま、みたいな状況になってしまうのはあまりうれしくないですね。
コスパを見極めていきたいです。