注文住宅の計画で吹抜けを採用するべきかを語るとき、よく狭小地による採光だとか、開放感の話になりますね。
もちろんそのメリットはかなり大きいのですが、現在計画中の家の間取りを見て気づいたこと、そして意外とこういう意見はネットでは見なかったなということがありました。
吹き抜けとは
知らない人はいないと思いますが一応・・・
吹抜けとは、2階以上にわたって床に当たる部分を設けず、下から上まで素通しに開放したスペースのこと。
https://suumo.jp/yougo/h/fukinuke/
玄関やリビング、階段部に吹抜けを設けることが多い。 視覚的な広がりが得られる。
南側に同じ高さの建物が建っている場合、吹き抜けをつくり天井近くに窓を切ることで、光を取り入れることができます。
また最近では高気密高断熱にすることによって、吹抜けを介して暖気・冷気をパスして全館空調を効率的に行えるように計画をする工務店、ハウスメーカーも少なくないようです。
断熱性能、気密性能が高くない家だと逆に吹抜けが空調を妨げてしまうようなので、要注意ですが。
デメリットとして挙げられがちなのが、床面積として加算されないがゆえに坪単価が上がったり、足場の設置で費用が上がることがよく言われていますが、実はこの裏返しが大きなメリットになるのでは? と今回のプランで感じています。
吹抜けの(あんまり)語られていないメリット
吹抜け部分は床面積に入りません。
つまりどういうことかというと、建築基準法の容積率の計算に含まれません。
そうすると、都会の1種低層の土地においてこれが効果を発揮します。
建ぺい率50%、容積率80%、50坪の土地があるとしましょう。(都会に50坪の土地は厳しいですが、計算しやすいため)
容積率をギリギリまで取りたいとき、吹抜けの有無で作れる床面積がどう変わるのか考えてみました。
以下は総2階の断面図です。
こんな感じで、延べ床面積は変わらずとも、建築面積の大きさを変えることができます。
これの何がメリットなのか、以下にまとめてみました。
- 1Fを大きくすることで、LDKの空間を広くとることができる。
- 1Fを大きくすることで、LDK、水回り、収納をまとめて家事動線を作りやすくなる。(過去記事参照)
- 屋根が大きくなるので、太陽光パネルがより多く載せられるようになる。
このあたりのメリットが出てきます。特に太陽光パネルについては、そんなに語られることも多くなさそうですが、結構いい点じゃないかと思います。
太陽光パネルが畳一枚分くらいらしいので、もし5坪の吹抜けがあったとしたら、単純計算だとその吹抜け空間に10枚くらいのパネルを載せられますね。(もちろん実際はクリアランスの確保などあるので、ミチミチに10枚載るわけではないのですが)
吹抜けの(あんまり)語られないデメリット
吹抜けは寒い、コストが上がるなどのデメリットはたくさんあるのですが、私が一番大きいと感じたデメリットは、1Fの日射遮蔽のための軒を伸ばせなくなることです。
恐らく間取りの工夫でなんとかなる気がするのですが、吹き抜きが1Fの隅にあると、軒を深くできません。
今回のプランでは、当初90cmで考えていた軒が60cmになってしまいました。
軒は1Fの天井? 2Fの床? から梁? を伸ばして作るらしく、吹抜けがある=天井・床が無いということなので、深い軒を支えることができないらしいです。
※この構造の話の辺りは曖昧なので、間違ってたら教えてください。
1Fリビングで深い軒を!と考えている方が要注意です。
吹抜けのススメ
私はどちらかというとアンチ吹抜けでした。今回のプランで付いてきた吹抜けも、お願いしたというよりは工務店さんからの提案で付いていたものでした。
吹抜けってやっぱり寒いイメージがあるし、2F面積を減らしているし、壁の仕上げで余計な足場を組む費用がかかるし、窓掃除大変そうだし・・・できれば吹抜けは使いたくないなあ・・・と思ってました。
しかし、諸事情あってスピード重視で計画を進めていたため、ついてるものは仕方ないという形でプランを進めていました。
過去の工務店のプランと見比べていたところ、なぜ今回は延べ床面積が大きくなってるのだろう?なぜ今回はこんなに家事動線が良くなってるんだろう? と考えたときに、1Fの面積だけが大きくなっていることに気が付きました。
うちは南間口で5m道路に面しており、かなり日当たりが良いのでわざわざ吹抜けなんて……と思っていましたが、こういうメリットがあることに気が付けたので、今では吹抜けサイコーと思ってます。
吹抜けを勧める際も、抜け感とか明るいとか、そういう情緒的なことよりも、1階のLDKが広く取れますよとか、もしかしたら水回りと収納をワンフロアで取れますよとか、こういったメリットをもっとアピールしたら良いのになあと思います。
吹抜けを採用するかどうか家族で意見が分かれているときは、こういうメリットもあるんだよと伝えられると、意外とすんなりと解決につながるかもしれませんね。
今回の話は50坪、60坪以上の土地に家を建てる人はあんまりピンとこないかもしれませんが、30坪、もしかしたら20坪、それより小さい……容積率も建ぺい率もマックスで使いたい、という都会の土地に家を建てるとき、ぜひ気にしておきたいポイントとして書いてみました。
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